読書メモ
月刊事業構想 (2016年11月号『大学スポーツの潜在力』)
- 作者: 事業構想大学院大学出版部
- 出版社/メーカー: 株式会社日本ビジネス出版
- 発売日: 2016/10/01
- メディア: 雑誌
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- 日本版NCAAに求められるのは4つ
- 顧客価値の向上:する人だけでなく見る人も楽しめるように
- ガバナンスの向上:会計の透明化
- メディアとの関係性の再構築:メディアと放映権料の交渉する組織必要
- 部活動と勉学の両立支援:NCAAはGPAの厳格なチェックがある
- NCAAの収入は1000億(大学やカンファレンスの収益除く)で、8割は放映権料
- カンファレンスと呼ばれる5〜15校の地域リーグが98ある。
- カンファレンスは所属大学の規模や実施競技の種類によってディビジョン1〜3に分かれている。
- NCAAの稼ぎ頭はテキサス農工大学の201億、テキサス大学が192億
- 「親が悪い」「学校が悪い」といったコミュニケーションを社会学では外部帰属化と呼ぶ。
- 低いコストでリニアな因果帰属を行い、自分を無害で安全な場へ避難させる作法。
- 感情浄化の効果があるので社会システム理論はこれを無意味としない。
- しかし問題解決には役立たず、社会的な実効性がないので、これに対して別様の選択可能性を模索すること(さらにその作法を考えること)が社会システム理論の目的となる。
アイデアはひらめかない
以前本屋で見つけられなかった「発想の技術 -アイデアを生むにはルールがあるー」を川崎のあおい書店で見つけて、読み終えた。
- 作者: 樋口景一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2013/03/07
- メディア: 単行本
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電通でプランニングの仕事をしている人の発想術。
”術”というとマニュアルやハウツーをイメージしてしまいやすいが、内容はあまり体系だってなくて、発想している時のジグザグ感、行き当たりばったり感みたいなものがすごく表れている。
「ステップ」という言葉を使いましたが、いわゆるフローチャートのようにこれに沿えばなんとかなる、というものでもありません。むしろその真逆です。何かに沿えばなんとかなる、という表層に陥りがちな考え方ではなく、思考をいかに深めていくか、広げていくかというためのものだと捉えていただいたほうがいいと思います。(p35)
冒頭では、キラキラワードとなっている”アイデア”を次のように定義している。
「問題を解決し、継続的に世の中を動かすための動力」。(p11)
この時点で、簡単に”アイデアをひらめいた”とは言えなくなってしまう。
「アイデアを出すのが得意です」と面接でアピールする学生について。
(彼らの)アイデアの具体例は、そのほとんどがなにも解決しない、効力ももたない、ただ自分をよく(あるいは「それっぽく」)見せたいがためのものにすぎないという状況です。(p16)
人が能動的になにかに参加するというのは、ものすごいことなのです。表面的な投げかけ、表層的な問題解決では、とてもではないですが、そんなことは起こらない。多くの人を動かすにはそれだけの力学を生む必要があり、そのためには、大きな価値の設定、大きな気持ちの設計が必要となります。(p19)
ここまで読むと、アイデアは”ひらめく”ものではなく”丹念につくり込む”ものであると言い換えることもできる。
ひらめくのはあくまで「(既に吟味された)問題に対する解決策」を考えている時だけで、「そもそも問題は何で、それを生じさせている原因は何か」という段階から”アイデアの深さ”が決まってくると筆者は述べている。
アイデアの「もと」はどこにあるかというと、実は課題そのものに潜んでいます。より正確に言うと、課題を生じさせている「原因」に隠れているのです。ですから、当たり前ですが、「原因」をどう捉えるかによって解決のためのアイデアは変化します。(p50)
”アイデア”という聞こえの良さや言葉としての利便性を厳しく定義し直し、その魅力の表層が見えているに過ぎないとばっさり切り倒している。
一方で、しっかり問題を深掘りし、地に足着いた解決策を考えることができたとき、自分はその最大の応援者であり、またそのアイデアを過大評価すべきだと筆者は述べている。
応援者は、常に対象を過大評価すべきです。
(中略)
最初から客観的な視点で冷静に、というよりむしろ冷めた目線で見てしまう。情熱をもって全力でよさを見出していくというプロセスを踏まない。(p105)
これはアイデアに限らない話だと感じた。
つまり、何かにコミットする際は、どこか意識的に盲信状態をつくりだすことが大事だという普遍的なメッセージなのではないかと思う。
内部批判や自己批判を否定するわけではないけれど、すごく勉強している人に限って「あれも違う、これも違う」と言って何かを成し遂げた気になることが多い。
”知りすぎて踏み出せないだけなのでは”という理性を働かせることで、意識的に”考えない”状態をつくり、今まで見えてこなかった対象の魅力を探っていく。
ある程度キャリアを積んできた人が、これを意識的にできるかどうかが、何か大きな分かれ道の1つになる気がする。
最後は、人の行動を誘発させるような言葉をつくるポイントについて。
僕は「できるだけ形容詞に頼らない」ということを意識しています。形容詞は言葉の守備範囲が広すぎて、どうしてもぼんやりとしたものとなってしまいます。対象を結局「どういうものにするのか」、ということを伝えるという意味では、「選び抜かれた端的な名詞や行動が明確な動詞で勝負するしかない」ということです。(p180)
この著書は全体的に端的で分かりやすい言葉と、そのイメージを喚起させてくれるユニークなイラストで構成されていて、パターンのイラストを考えるうえで非常に参考になりそうだと思った。
研究会の文献リストにもあがっている「表現の技術 -グッとくる映像にはルールがある」も、同じ電通の方の著書で、様々な創作に応用できる言葉や考え方が含まれていて、面白い。
- 作者: 高崎卓馬
- 出版社/メーカー: 電通
- 発売日: 2012/05
- メディア: 単行本
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